The previous night of the world revolution6~T.D.~

生まれは箱庭帝国でも、育ちはシェルドニア王国である私にとっては。

慣れ親しんだ、いつものケーキの味だが。

「美味しいですか?フューニャ」

「はい、美味しいです」

良かった。

どうやら、フューニャの口にも合ったようだ。

大好きな甘いものを食べているときの、このフューニャの顔。

飾っておきたいくらい可愛い。

全く、私の義弟は、いつもこの顔を見る特権を持ってるんだから、羨ましい。

…おっと、忘れてはいけない。

私の役目は、可愛いフューニャにケーキを食べさせることと。

もう一つあったのだった。

『青薔薇連合会』準幹部としての役目が。

セカイさんは、口に合ったでしょうか。

彼女の方を向くと、何故か彼女は、フォークを持ったまま固まっていた。

…?

「…どうかしました?セカイさん」

「えっ!いや、な、何でも…」

「でも、全然食べてないじゃないですか」

彼女はまだ、一口もケーキに手を付けていない。

何故だろうか。

「何か、異物でも入ってました?」

「…カタツムリと幼虫の時点で、充分異物だよ…」

「え?」

また、よく聞こえなかった。

「な、何でもありません」

「では、遠慮せずどうぞ。何ならお代わりも…」

「いいいいえ!結構です!大丈夫なんで!はい!」



やっぱり、遠慮しているのだろうか。

私としては、この機会を利用して、出来るだけ彼女との距離を縮めておきたいのだが…。

「美味しいですよ、どうぞ」

「う、うぅ…。…よし、覚悟だ。覚悟を決めろ…」

覚悟?

「わ、私はマフィアの妻。マフィアの妻…。怖くない怖くない…」

何かの暗示をかけているようなのだが。

何の儀式でしょう。

すると。

セカイさんは、ようやくケーキにフォークを突き刺し。

しばし、ぷるぷると震えた後。

バクッ、とケーキを口に突っ込んだ。

「…南無三っ!!」

…南無三?

さっきから、何を言ってるのか…。