The previous night of the world revolution6~T.D.~

「ルーカス君。俺も、君の意見は間違ってると思う」

ちょっと前まで、サッカーボール追い掛けてたBが。

偉そうに、ルーシッドに講釈垂れ始めた。

しかも、誰の意見も尊重されるはずのこの場で、公然と「間違ってる」と。

おまけに、この場にいる誰も、その禁忌の言葉を止めないのだ。

最早、『ルティス帝国を考える会』の大原則なんて、誰も気に留めちゃいない。

つまり、そういうことなのだ。

ルーシッドの意見よりも、『ルティス帝国を考える会』全体の指針の方を優先するのだ。

共産主義的思想の、会の指針を。

…来るところまで来たな、本格的に。

誰の意見も尊重されるはずの『ルティス帝国を考える会』が。

今や、『ルティス帝国を共産主義にしたい者の集い』に成り果てた。

憐れなもんだ。

「ルティス帝国に富はある。でも、国家がそれを独占して、自分達だけが贅沢をしてるんだ。そんな国に、未来はない」

サッカーボール追い掛けてた分際で、大層なこと言いやがる。

ルティス帝国に富はある、とまで言いやがった。

ほんのちょっと前まで、不況に喘いでいたのを忘れたのか?

富なんかねぇよ。

俺にはあるけどな。

「ルティス帝国王室や貴族達は、これまで散々贅沢をしてきた。もうこの辺で、変わらなきゃならないんだ」

「俺もそう思う」

Cが、一丁前にBに同意。

お前、この間まで優柔不断に、『ルティス帝国を考える会』かー、どうしようかなーとか言ってた癖に。

今ではすっかり、会の指針に染まりやがって。

「長年独占してきた富を、国民に返すべきだ。王侯制度なんて古い慣習は、もう国民には必要ない」

「そうだ、箱庭帝国だって生まれ変わったんだ。ルティス帝国も、今こそ新しく生まれ変わるときが来たんだ」

「そうだ、その通りだ!」

「私達がルティス帝国を改革し、未来の子供達に繋げるんです!」

「そうだ!その為には、今、俺達が立ち上がらなければ!」

うわー。

なんか、一昔前のルアリスみたいなこと言ってる。

やべー集団だよ。

…冗談抜きで、ヤバい集団だ。

「…」

このシュプレヒコールに、ルーシッドも言葉を失っていた。

最早、これは討論会などではない。

決起集会のようなものだ。

そして。

「君のような前時代的な考えの人間がいるから、ルティス帝国は未だに、昔の体制を引き摺ってるんだ」

決起集会は、今度はルーシッドの悪口大会に取って代わった。