The previous night of the world revolution6~T.D.~

しかし。

腹の足しにもならない話は続く。

「でも、想像は出来る。私はここで活動する前から、たくさんの本を読んだし、ボランティアにも参加したことがあるわ」

ボランティアという名の、高みの見物をしたって訳ね。

で、対するルーシッドは。

「それは…俺も同じです。彼らについて、全く無知な訳ではありません」

こちらも高みの見物しながら、それでも彼らを少しでも救おうと国策を行っている。

君達、今だけは超良い勝負してるよ。

お互い、貧しい人々の気持ちなんて知りもしない癖に、知った気になって話し合ってる。

ここにアリューシャ連れてきたら、面白いことになるだろうなぁ。

多分、「お前らまとめて、ゴキブリになって出直してきやがれ!」で解決。

その点俺も同じなので、皆一緒にゴキブリになろうぜ。

「なら、思わなかったの?誰かが、ルティス帝国の未来を担う私達が、彼らを救わないといけないって」

「はい、思いました。だけど、それが何故、皆さんの言うような王制や帝国騎士団の批判に繋がるのか、分かりません。彼らは彼らのやり方で、貧しい人々を救おうと努力していま、…いるのでは?」

ちょっと本音が出かけてるぞ。落ち着けルーシッド。

しかしまぁ、志は同じなのに、やり方が違うと、ここまで正反対の意見になるとは。

君達、見てる分には凄い面白いよ。

カブトムシの争い見てるみたいで。

いやー昆虫同士の喧嘩って面白いなーあははー。

俺にとっては、ルーシッドの方が正論言ってるようにしか聞こえないのだが。

エリミア会長は、この軽蔑しきった顔。

誰の意見も尊重する、という『考える会』の大原則は何処へやら。

とうとう、原則すら取り繕うほど余裕がなくなったか。

「帝国騎士団が努力している?一体何処が?」

少なくとも、身を張って『ルティス帝国を考える会』に潜入して、会長と論争するほどには頑張ってるみたいだよ。

おまけに、その為にマフィアとまで手を組んだ。

その覚悟は、まぁ見上げたものだ。

知らないってのは罪だな。つくづく。

もう、本当のこと言っちゃっても良いと思ったけど。

ルーシッドは、あくまでルーカスを演じ続けた。

「エリミア会長…。ルティス帝国には、限られた富しかありません。ルティス帝国に住む全ての国民を救うには、とても…」

「本当にそう?王族や貴族達が独占してる富を分配すれば、少なくとも今貧困に喘いでいる人は救えると思うよ、きっと」

綺麗事だな。

じゃあお前、今ここで何してんの?

高い入学金と授業料支払って、呑気に勉強してる暇があったら。

その財産全部、貧しい人に配って回れよ。

お前が言う綺麗事を、身を以て実践してみろよ。

出来ないだろ?

そういうことなんだよ。

所詮お前らは、対岸の火事を見て、「何とかしてあげたいなぁ」と言ってるに過ぎない。

向こう岸まで渡っていって、自分が怪我を負ってでも、火事を消そうなんて気は全くない。

あくまで、どうやったらこちらの岸にありながら、向こう岸の火事を消せるか、しか考えてないのだ。

だったら、例え焼け石に水でも、橋の上からバケツで水をぶん投げてる帝国騎士団の方が、やってることはマシだ。

てめぇらだけ安全圏にいながら、火事を消せると思うなよ。

それなら俺みたいに、対岸の火事なんて見ない振りしてれば良い。

こっち側は平和なんだからそれで良いや、と無視を決め込めば良い。

善意だけで、火は消えない。腹も膨れないんだよ。

出来もしない理想を語るのと、無視を決め込むのと、どう違うって言うんだ?

火事の中を必死に逃げ回ってる人にしてみれば、何もしてくれない限り、どちらも一緒なんだ。

それなのに。