The previous night of the world revolution6~T.D.~

それを聞いたとき。

あ、来るべきものが来た、と思った。

いつか来ると思っていたが。

意外に早かったな。

多分、ルーシッドもそう思ったに違いない。

「…何か問題がありますか?『ルティス帝国を考える会』では、どんな意見でも尊重されると聞いていますが」

ルーシッドは、冷静にそう言い返した。

しかし、エリミア会長以下。

『ルティス帝国を考える会』の会員達は、ルーシッドを白い目で見ていた。

「そうね、それは会の大原則。でもあなたの場合…何だか、私達が何を言っても、故意に反対意見を口にして、楽しんでるように見えるわ」

楽しんでるだって?

こちとら、楽しいことなんて何もないのに。

「それはあなたの本心からの意見?それとも、単に反対意見を口にしたいだけ?」

今までも、「あのルーカスって奴ムカつくよな」的な意見は、話し合いの後に呟いている奴がいた。

それは、この講義室に仕掛けた盗聴器で確認している。

これまで何度も、影でルーシッドの悪口を言ってる奴はいた。

それを聞いたエリミア会長が、諌めることもせず聞き流していたのも知っている。

しかし。

こうして、皆の前で、本人の前で、公然とルーシッドを批判するのは、初めてだ。

とうとう、堪忍袋の緒が切れたということか。

切れるの早かったなぁ。

俺の懐の広さを、少しは見習って欲しい。

「俺は、俺の意見を述べているだけです。ただ、皆さんの意見と対立することが多いというだけで」

ルーシッドは、嘘は言っていない。

確かにルーシッドの役目は、『ルティス帝国を考える会』で、常に反対意見を口にすることだが。

その反対意見は、いつだってルーシッドの本心だった。

むしろ嘘をついているのは、俺の方だ。

「ここは『ルティス帝国を考える会』なんだから、主義主張は自由なはずでは?」

「えぇ、確かにそうね」

エリミア会長も、それは認める。

しかし。

「でも、もしあなたが故意に皆の意見に反対しているのでなく、本心であなたの意見を述べているなら…あなたは随分、前時代的な考え方をしているようね」

…ほう。

かなり突っ込んだ言い方だ。

前時代的、と来たか。

遠回しではあるが、これはルーシッドに対する批難だ。

そして、そんなエリミア会長の批難を、誰も咎めない辺り。

ここにいる、俺とルーシッド以外の全員が、エリミア会長と同じ意見なのだろう。

このルーカス(ルーシッド)という男は、前時代的な考え方をしている、と。

前時代的と言えば、そこそこ聞こえは良いが。

要するに、「お前の考え方って、時代遅れだよな。いつの時代だよw」って言ってるようなもんだからな。

「前時代的…そんな自覚はありませんが、会長がそう思われるのなら、俺は前時代的なのかもしれませんね」

ルーシッド、そこは自信を持って良いと思うぞ。

お前は前時代的だ。

「俺が前時代的なら、皆さんは革新的思考と言ったところでしょうか?」

「ルーカス君。私達は、ルティス帝国の未来を担っていく若者なのよ。いつまでも古い考えに囚われていては、ルティス帝国は永遠に、昔の価値観から変わらないままだわ」

「無理に変える必要はありますか?現体制で上手く事が回っているなら、改めることが必ずしも、良い方に繋がるとは限りません」

改良のつもりが、改悪になっちゃいました、って奴だな。

一番やっちゃいけないパターン。

しかし、会長にそんな理屈は通用しない。

「現体制で上手く事が回っている?…何かの冗談かな」

エリミア会長は、嫌悪すら滲ませてそう言った。