The previous night of the world revolution6~T.D.~

更に、王族批判は止まらない。

「大体、王制そのものがもう古い制度で、今の時代に合ってないのに」

「そうですよね。それなのに、今の女王は、あんなに牽引力のない人…。ルティス帝国の未来が心配です」

だってさ。

もしルーチェスが、ベルガモット王家に残っていたなら。

ルティス帝国の未来も、割と明るかったんだろうけどな。

生憎あの賢明な元王子は、賢明過ぎて、沈みかけた泥舟を自ら降りて。

俺の弟子になるという、究極に賢明な選択をしたものだから。

…ただ。

アルティシア女王のせいで、未来が暗い、ってことはないと思うがな。

少なくとも、今の帝国騎士団がある限りは。

俺が、何度も言ってるだろう。

自覚のある馬鹿と、自覚のない馬鹿の話。

自分が馬鹿であることを自覚している馬鹿は、まだ賢い。

自分が馬鹿であることを自覚していない馬鹿が、一番タチが悪いのだ。

そういう馬鹿は、余計なことをするからな。

それと同じだ。

自分が無能であることを知っているアルティシアは、まだ賢いのだ。

無能であることを知らない無能な国王は、国をあらぬ方向に導き、部下を振り回し、国民を混乱させる。

だからその点では、アルティシアはまだ有能なのに。

「ルティス帝国も、ベルガモット王家だけの世襲制じゃなくて、シェルドニア王国のように、複数の王家筋を設けておくべきじゃないですかね」

とんでもない馬鹿なことを言い出す奴がいた。

しかもその馬鹿は、最高に残念なことに、俺の仮の友人である、エリアスだった。

お前、気は確かか?

「複数の?」

「はい。そうすれば、どちらかの家に有能な人材が生まれたとき、その人が王になれば良い。それなら、国民達は常に、正しい治世を生きられます」

お前馬鹿か、と誰かツッコんで欲しかったのだが。

あろうことか。

「確かに、一理あるかも」

「実際、同じ王制を敷く国でも、シェルドニア王国は、世界一犯罪率が低い国として有名ですからね」

「ルティス帝国も、シェルドニア王国に倣うべきかもしれません」

お前らみたいに度しがたい馬鹿が、ルティス帝国の未来を担う若者である限り。

王制をどう変えたって、ルティス帝国に未来はねぇよ。馬鹿が。

シェルドニアが、何故あんなに犯罪率が低いのか、その理由を教えてやろうか。

こいつらが腰を抜かす様を、この目で見てやりたい気分だ。