The previous night of the world revolution6~T.D.~

けれど。

この若者達は、そんな大人の事情なんて知らないので。

「ルティス帝国という、仮にも大国の女王なんだからさ…もっと積極的に国政に携わっても良いと思うけど」

「分かります。自分では何もせず、ほとんど側近や帝国騎士団に任せっきりですよね」

「無責任だよな。アルティシア女王がしっかりしないから、あんなに帝国騎士団が出しゃばってるんじゃないのか?」

「それはあると思う」

だってさ、ルーシッド。

君ら、出しゃばりだって。

プークスクス。

ここから、女王ではなく帝国騎士団批判に走るのかな、と思ったが。

「女王としての威厳としては、前のローゼリア女王の方があった気がする」

あくまで、話題にするのはベルガモット王家のことか。

しかも今度は、元女王のことを議題に上げやがった。

俺にとっては、非常に「思い出深い」女王様だったよ。

「確かに。ローゼリア女王の方が、しっかりしてましたよね」

「色んな活動にも積極的だったし…。彼女の方が、統率力があった」 

「そういう意味では、女王に相応しい人だったと思う」

…。

…今、この場にルルシーがいたら。

今すぐテーブルをぶん殴って、こいつら全員を黙らせるか。

今すぐ俺を連れて、この場を立ち去っただろうな。

そうですね、あの人は女王に相応しい人だったのかもしれない。

王家の威厳や威信や威光を守る為に、俺という人間を犠牲にするほどに。

だけど…。

「…俺は、そうは思いませんけど」

ルーシッドだった。

ルーシッドが、口を開いた。

全員が、「またこいつか」みたいな目で、ルーシッドを見た。

いつだって、反対意見を口にするのはルーシッドだからな。

本心で反対しているのか。

…それとも、この場にいるローゼリア元女王の犠牲者…俺の心情を気遣ったのか。

どちらでも構わないが。

正義厨のルーシッドごときが、俺の心情を慮るなどおこがましいというものだ。

お前は、与えられた役目を果たしていれば良い。

だって、もう、既に。

帝国騎士団四番隊隊長、ルシファー・ルド・ウィスタリアは、この世の何処にもいない。

ローゼリア・クラウディナ・ベルガモットという一人の女の我儘によって、殺されたのだから。