The previous night of the world revolution6~T.D.~

「同感ですね。『天の光教』の残党?は?知りませんよ俺は」

確かにあの事件のとき、俺達『青薔薇連合会』は、帝国騎士団と共闘して、『天の光教』を潰した。

それは事実だ。

けれどそれは、お互いの利害が一致していたから。

そして、俺達もまた、『天の光教』のルチカおばさんに、個人的に喧嘩を売っていたから。

だから、関係があるとしたら、それは『天の光教』と『青薔薇連合会』の間にだけ。

共闘は終わったのだから、『青薔薇連合会』と帝国騎士団の間には、もう何の関係もない。

少なくとも、『天の光教』に関しては。

帝国騎士団と話すことなんて、何もない。

こっちは、ちゃんと落とし前つけてもらって、用事は済んだのだ。

残党なんて知ったことじゃない。あとはそっちが、勝手にやってくれよ。

それは帝国騎士団の仕事だろ?

何で、いちいち俺達に声をかけてくる?

共闘したからって、仲間だと勘違いされちゃ困る。

あくまで俺達は、水と油。光と闇。決して混じり合うことのない存在なのだから。

「そうだね、ルレイアの言う通り。私達には、帝国騎士団に手を貸す理由は何もない」

「そーだそーだ!アリューシャしーらね!」

「でも、アリューシャ。あながち、しーらね、で放っておけないんだよね」

「え、何で?」

「これが、帝国騎士団からの要請だからだよ」

「…??」

また、頭はてなマークになっているアリューシャ。

アリューシャのみならず、ルルシーとシュノさんも、よく分かっていないご様子。

うーん…。何と説明したら良いものか。

「オルタンス達だって、マフィアのやり口や考えは知ってます。だから、『また協力してよ』って誘ったとしても、無視されるのは分かってるはずです」

「は?じゃあ何で、わざわざこんなメール寄越したの?暇なの?」

暇なのかもなぁ。

その可能性は…ある?かもしれない。

暇だったら良かったんだけど。

「『青薔薇連合会』には、もう何の関係もない…そう分かっていながら、それでも敢えて、俺達に話し合いの場を求めてきた…。それなりの理由があるんでしょう」

「理由…」

「そうだね。このメールは、帝国騎士団からの、ある種の警告でもあるんだ。『今この申し出を無視したら、そちらにも害が及ぶ危険性があるぞ』ってね」

あの、無駄に頭だけはキレるオルタンスが、わざわざこんなメールを寄越してきたのだ。

それなりの理由がある。

俺達が無視すれば、むしろ危険に陥りかねない理由が。

だからわざわざ、律儀に警告してくれているのだ。

あるいは、警告を見返りに、再び協力関係に戻ることを求めているのかもしれない。

いずれにしても。

「僕達が今ここで、うだうだ話し合いしてても仕方ないってことですね」

俺の優秀な弟子が、俺の言おうとしていたことを代弁してくれた。

さすがルーチェス。分かってる。

この、余計な情報な一切与えないメール。本当によく考えたもんだよ。

腹立つレベルだな。

「俺達が何の情報を持ってるか、お前達気になるだろ?話し合いに応じろよ」と、言外に脅してきてるようなもんだ。

こんな意味深なメールをもらったら、思わず捻り潰しに行きたくなるじゃないか。

「…行くんですか?アシュトーリアさん」

ルルシーが尋ねた。

無視するにせよ、話し合いに応じるにせよ。

アシュトーリアさんの指示は、仰いでおいた方が良いだろう。

ないとは思うが、これが万が一、帝国騎士団の罠である可能性も否めない。

目的の為には手段を選ばない、その周到さは。

帝国騎士団も『青薔薇連合会』も、変わらないのだから。

「そうね。行った方が良いと思うわ」

…やはり、そういう判断ですか。

あなたなら、そう言うと思った。

「ほう。さすが『青薔薇連合会』。大胆ですね〜」

笑うルーチェス。

本当。全部笑い事にしてしまいたいな。

「でも、話し合いの場所と時間は、こちらが指定するわ。その要求が呑めないなら、話し合いは無しよ」

「分かりました。手配します」

「お願いね、アイズ」

まぁ、こちらが話し合いに応じると言えば。

オルタンスは、多少の条件くらいは呑むだろう。

話し合いとやらの中身の、重要性にもよるか…。