The previous night of the world revolution6~T.D.~

「彼らはもう、解散させられたんでしょう?」

と、シュノさん。

「そうですね。『天の光教』は、既に宗教団体としての権限を剥奪されています」

つまり、何人も『天の光教』を名乗ることは許されなくなったのだ。

少なくとも、ルティス帝国の現法律上では、彼らに宗教団体としての権限は、一切ない。

「それに、教祖ももういない…」

今頃あの人、ブタ箱の中だもんね。

年齢サバ読んでるから、そんなことになるんだよ。

「『天の光教』に賛同してた信徒達も、ほとんどがもとの生活に戻ってるんだろう?何で今更残党なんて残ってるんだ?」

と、ルルシー。

うーん。まぁ、普通に考えたらそうなんだけど。

「宗教団体としての『天の光教』は、もう何の力もありません。年齢サバ読んでたルチカも捕まりましたしね。でも…それ以外の、ルチカの側近達は捕まってはいません」

「…!」

宗教というものの、難しいところだよな。

「教祖を奪われ、宗教団体の名前を奪われても、人々の中にある信仰だけは奪えない。一部の熱狂的な『天の光教』の信者達は、未だに『天の光教』を信じてるんです」

「無論、大部分の…ある種のフラッシュモブ的な信者は、もとの生活に戻っている。だが、ルレイア先輩の言うように、熱心なルチカ教祖の崇拝者は、未だに『天の光教』を信じてるんだ」

「ふ、フラッシュモブ…?」

意味が分かってないらしいアリューシャである。

すかさず、アイズが。

「後で絵本にしてあげるからね、アリューシャ」

「よろ!」

さすが。

「何がよろ、だ全く…」

「まぁまぁ、ルルシー」

「アホのアリューシャはともかく…。あの事件の発端だった、ルティス帝国の不景気も、今は回復傾向にある。今更『天の光教』の残党に、何が出来るんだ?」

「そうですねぇ…」

彼らに、何が出来るかなぁ…。

色々思いつくよね。

「ルチカ教祖を返せー!って自爆テロとか」

「他の似たような少数新興宗教と手を組んで、テロを起こすとか」

「報復の為に、王宮に爆弾放り投げるとか有り得そうですよね〜」

俺、ルリシヤ、ルーチェスが順番に言うと。

「…お前ら、発想が過激過ぎないか?」

「ジェットストリーム自爆テロみたいになってるもんね」

だって、とりあえず先に過激なこと…最悪なことの方を言っておいた方が。

後でびっくりせずに済むだろう?

「そんな…テロだなんて…。仮にも宗教団体が、そこまでするの?」

驚くシュノさん。

まぁ、普通は考えられないよね。

しかし。

「お忘れなきよう、シュノさん。奴らは自分の組織を守る為に、マフィアと手を組んで、おまけに建物ごと自爆テロ仕掛けようとしてた、狂信的連中ですよ」

「そ、そういえば…そうだけど…。でも、今の彼らはあくまで残党でしょう?」

「残党だからこそですよ。失うものはもう何もない。やれることは何でもやるでしょう」

奴らがもし、見境のない連中だったら。

今頃、一部の上流貴族や、ルーチェスがもといた王宮、あるいは帝国騎士団の隊舎辺りは。

厳重に警備を固めているだろう。

吹っ飛ばねーかなーウィスタリア家とか。

「そんな…」

「それ、不味いんじゃないのか?俺達も、盛大に『天の光教』に喧嘩売ってるし…」

まぁ、標的になる可能性が、ない訳ではないね。

常に厳重にガードしている『青薔薇連合会』の本拠地に、入り込む度胸と技術があれば、の話だが。

…とはいえ。

「連中がそんなに馬鹿なんだったら、帝国騎士団も、わざわざ俺達に協力求めてきたりはしませんよ」

「えっ?」

アイズが、やれやれ、とばかりに嘆息した。

彼も、よく分かっているらしい。