The previous night of the world revolution6~T.D.~

…ルーチェスの、一連の話を聞き。

俺は、ルーチェスが何故、執拗に嫁の前で道化を演じようとしていたのか、その理由を知った。

…ルーチェスの話が本当なら。

『赤き星』は、単なる大学の同好会ではない。

同好会の名を被った、本物の共産主義組織だ。

組織と言うには、人数は少ないが…。

しかし、その一人一人が、共産主義にどっぷりと首まで浸かっている。

…まさか、そこまでとは思わなかった。

そして同時に、ルーチェスを『赤き星』に潜入させたことは、正解だったと思った。

俺だったら、たった三日で、彼らの満足する論文を書き上げられるはずがないからだ。

元王族として、レベルの高い教育を受けていたルーチェスだからこそ、そんな芸当が出来たのだ。

よくもまぁ、そんな閉鎖されたグループに、上手く入り込めたものだ。

ルーチェスの実力の賜物だ。

だが…。

同時に、不安でもある。

「…潜入出来たのは良かったが…。くれぐれも気をつけろよ」

「そうですね」

そうですねってお前。

「本当に分かってるのか?そんな結束力の高い、閉鎖的な組織…。もしお前が間諜だってバレたら、どうなるか…」

「…」

「…何で黙ってるんだよ?」

「…いや、ルレイア師匠が前、『ルルシーの心配性は、癌で例えたならステージ5の末期ですね』とか言ってたのを思い出して、その通りだな〜って」

ブチッ。

「あのな、冗談で言ってるんじゃないんだよ」

ルレイアの奴、ルーチェスにそんなこと言ってたのか。

余計なことを言うな。ってか余計なお世話だ。

「退部させられるだけなら、まだ良い。学生ごときに、お前をどうにか出来るとは思えないが、それでも…」

万が一ということは有り得る。

『天の光教』のことを思い出してみろ。

狂信的な人間が、追い詰められたときどんな行動を取るか…。

「分かってますよ」

「本当に分かってるのか?」

「本当に分かってるから、そう言ってるんです」

「…」

ルーチェスの目は、珍しく真剣そのもので。

それがあまりにルレイアに似ていたから、俺は言葉に詰まってしまった。