The previous night of the world revolution6~T.D.~

食事の後。

ご馳走様でした。

「…で、ルーチェス」

「はい、何でしょう」

「本題に入らせてもらいたいんだが」

「あー…うん、はい」

言うまでもないが。

俺がここに来た理由は、説明するまでもなくルーチェスも理解している。

師匠に似て、そういうところも鋭いのだから。

ただ、ここで話すには問題がある。

ルーチェス嫁がいるからだ。

堅気の人間である彼女を、巻き込む訳にはいかない。

「…セカイさん」

「んー?」

「ちょっと男同士で秘密の話をするので、お風呂にでも入っててくれませんか」

誤解を招きかねない言い方やめろって。

普段からそんな言い方ばっかしてるから、ルーチェス嫁が変な誤解をするんだよ。

「えー?良いけど、お風呂から上がったとき、お二人がイチャイチャしてたら、私凄く気まずいよ?」

ほら。案の定あらぬ心配をしている。

「大丈夫、早めに終わらせますから。僕のテクニックについては、セカイさんも知ってるでしょう?」

「成程、確かに。じゃあ、私も気を遣って、のんびりお風呂に入ってくるね。ごゆっくり〜」

ルーチェス嫁は、笑顔で手を振り。

バスルームの方に消えていった。

…。

ようやく、ルーチェスと二人きりになれた訳だが。

「…お前、ちょっと一発頭殴らせてもらって良い?」

わざとだろ。わざと嫁を勘違いさせる方向に持っていこうとしてるだろ。

「野蛮ですねルルシーさん…。ルレイア師匠に言いつけますよ」

「勝手に言いつけろ。わざと煽るのが悪い」

「えぇわざとですよ。だって僕が今何の仕事をしてるかなんて、セカイさんには教えられませんからね」

「…!」

「大学に潜入してスパイ活動してる、ってところまでは教えてますが、そこがコミュニストの集まりだとまでは言ってません。下手をすれば、僕だけじゃなくセカイさんまで政治犯のレッテルを貼られかねない」

…。

「…そう…だったな。悪い…」

ルーチェスが、わざとおどけてみせていたのは。

ルーチェス嫁に、余計な心配をかけない為だったのだ。

そりゃそうだよな。

自分の前で、旦那とその同僚が、神妙な顔突き合わせて、スパイ活動の話なんかしてたら。

不安にもなるだろう。大丈夫なんだろうかと心配もするだろう。

だから敢えて、「同僚が訪ねてきただけ」みたいなシチュエーションを演じていたのだ。

「ルーチェス…。えっと、ごめんな。俺…」

「謝ってる暇ないんで、気にしないでください。それより、セカイさんが戻ってくる前に、『赤き星』について僕が今知っていることを話すんで、しっかり聞いててください」

「あ、あぁ」

こうして。

ルーチェスは、私立ローゼリア学園大学の同好会、『赤き星』について話し始めた。