The previous night of the world revolution6~T.D.~

「違う。あのな、俺、お前ん家に夕飯食べに来たんじゃなくて…」

「え?夕飯食べに来たんじゃないんですか?」

「当たり前だろ」

「済みません。僕何か勘違いしてたのかもしれません。夕飯時に訪ねてきたものだから、ルルシーさんも愛するルレイアさんがいなくて、人恋しさに誰かと食事したくて、ここに来たのかと…」

お前の嫁も酷い勘違いをしていたが。

お前も大概だな。

似た者夫婦だよお前達は。

夕飯時に訪ねる俺が悪いんだな。うん、そうだな。

でも、朝や昼間は、大学への潜入任務があるから、忙しくて喋ってる暇ないと思って。

仕方なく、この時間に来たのだが。

なんかおかしな勘違いさせてしまったな。

言っとくけど俺、人恋しさにアンブローシア家を訪ねてきた訳じゃねーから。

つくづくお前の思考回路は、師匠譲りだよ。

「まぁ、それでも作ったんだから、食べて帰ってくださいよ」

「…なんか、悪いな」

「良いですよ」

普段、ルレイアやらアリューシャやらに、飯作れとタカられることはあっても。

人の手料理を食べさせてもらう機会は、これまでルリシヤ以外にはなかったので。

何だか、ちょっと新鮮な気分。

しかも、こんな本格的フレンチディナー。

一般家庭でお目にかかれるものじゃないぞ。

そして。

一口、ルーチェスの作った、白身魚のポワレとやらを口に入れると。

成程、ルーチェス嫁が夢中でぱくぱく食べているのも分かる、納得の味だった。

「美味しいですか?」

「あぁ…。およそ一般家庭では食べられない、高級レストランみたいな味がするよ」

「気に入ってもらえたなら良かったです」

アンブローシアレストランだ。ここは。

ルリシヤと言い、ルーチェスと言い…本当に器用だよな。

アリューシャにも、少しは見習って欲しいよ。

まぁ、狙撃の器用さなら、アリューシャの右に出る者はいないが…。

…しかし。

「大変じゃないか?」

「何がです?」

「毎日仕事や…大学から帰ってきて、こんな手の込んだ料理を作るの…」

「え?これそんなに手込んでます?普通の範囲では?」

世間一般でこの料理が家庭で出てきたら、それは休日のおもてなしメニューと呼ぶんだよ。

「別に大変じゃないですよ。だって、ほら」

ルーチェスは、セカイさんとかいう、ルーチェス嫁を指差した。

「ん〜っ!こっちも美味しい!さっすがルーチェス君!天才!」

ルーチェス嫁は、ハムスターみたいに口の中をいっぱいにして、もぐもぐしていた。

ややお行儀は悪いが、その満足そうな、満面の笑みを見ていたら。

…成程、ちょっとルーチェスの気持ちが分かった。

「ね?こんな顔されたら…」

「そうだな。疲れなんてふきと、」

「性欲が滾るでしょう?」

「…」 

うっとりと、自分の嫁を眺めるルーチェス。

…つくづく。

お前は、師匠によく似てるよ。

悪い方の意味でな。