The previous night of the world revolution6~T.D.~

…とりあえず、アンブローシア宅にあげてもらい。

俺は、全力でルーチェス嫁に弁解した。

最初ルーチェス嫁は、俺が何を言っても、にこにこしながら「うんうん、分かってる分かってる〜」と、

分かってると言いながら、何一つ分かっていない状態だったが。

夕食を作り終え、エプロンを脱いでリビングに戻ってきたルーチェスの、

「え?ルルシーさんは僕の師匠の婚約者なんで、さすがに師匠の恋人を寝取ったりしませんよ」

という、事実無根な証言により。

「え、そうなの?なーんだ。ルーチェス君の愛人じゃなかったんだ」

と、納得してもらえた。

ルーチェス嫁に、ようやく理解してもらえたのは良かったが。

後で覚えとけよルーチェス。

…それで。

「…これは何だ?」

「何だって…。見ての通り、夕飯です」

俺の目の前には、洒落たランチョンマットの上に、高級レストランのコース料理みたいな皿が並んでいた。

「今日のメニューは、前菜に生ハムのクリームチーズ巻き、スープは冷製コーンポタージュ、メインは白身魚のポワレ、デザートに手作りクリームブリュレです。あ、パンには是非、僕が作ったレーズンバターを塗って食べてみてください。美味しいですよ」

本格的過ぎる。

何で?

何で俺、こんな状況になってんの?

俺はただ、ルーチェスに「スパイ活動の進捗状況はどうだ」と聞きに来ただけなのに。

何故か、アンブローシア家の夕食の席に招かれたみたいになってる。

つーかお前、これ全部手作りかよ。

家庭料理の域を越えてるぞ。

そして。

「んー、今日も美味し〜!さすがルーチェス君!」

何事もなかったかのように、ルーチェスの料理をもぐもぐするルーチェス嫁。

…。

「…なぁ、ルーチェス」

「はい。美味しいですか?」

いや、まだ食べてないけど。

「お前、毎日このレベルの夕飯作ってんの?」

「このレベルって…どのレベルですか?普通の夕飯では?」

元王族のお前に、普通の家庭料理を求めた俺が馬鹿だった。

そうだな。お前にとっては、ある意味これが普通なのかもしれない。

だが、世間一般では、これは普通ではない。

「ちなみにこのランチョンマット、僕が手縫いで作ったんですよ」

「え、マジで?」

「はい。刺繍も自分で。シュノさんのハンカチ作るときに、刺繍勉強したんで。何か他のことに活かせないかなと思って」

…成程。

黒地のレース付きで、左端に青い薔薇の刺繍がしてある、

いかにもルレイアが好きそうな、このランチョンマット。

何処で買ってきたんだろうと思ってたら、お前の手作りかよ。

それは納得だわ。

いや、納得してる場合ではない。