The previous night of the world revolution6~T.D.~

まぁね、正直、気分…良かった訳じゃないのは事実だ。

ルーシッドがいる手前、そんなことは言わないけど。

今では、個人的な感情で、帝国騎士団も貴族共も糞食らえと思ってるけど。

…俺だって、かつては。

その糞食らえと思っていたものの為に、自分の存在価値を懸けて、血反吐を吐くような思いをした一人なのだ。

だからまぁ…ルルシーが心配している通り。

自分が過去、信じて、必死に努力して戦ってたものを…扱き下ろされるのは、良い気分ではないかな。

過去の自分を、侮辱されているみたいで。

過去のお前の努力なんて、何の価値もなかったんだって。

確かに、帝国騎士団を追い出された今となっては、俺の血反吐を吐くような努力なんて、意味はなかったのかもね。

でも、まるっきり意味がなかった訳じゃない。

今『青薔薇連合会』で、ルルシーや他の皆を守れる力を得ることが出来たのは。

それは紛れもなく、幼少期から地獄のように続いた、その努力のお陰だから。

その努力を知りもせず、一方的に「帝国騎士団なんて必要ない」と断言されるとね。

俺の努力って何だったんだろう、って思うよ。さすがに。

ルーシッドなんか、余計そうだろうな。

今でもルーシッドは、帝国騎士団で、国民達を守る為に精一杯のことをしているのに。

「お前ら必要ないんだよ消えろ」と、面と向かって言われちゃ。

脱力を通り越して、もうどうでも良いや、とヤケになってもおかしくない。

のに、それでもヤケにはならないお前は、そういう面では偉いと思うよ。

童貞だけどな。

「俺は大丈夫ですよ、ルルシー」

「…ルレイア…」

俺は、笑ってそう言ってみせたが。

ルルシーには、通用しなかったようで。

「…だから、お前をあんなところに送るのは嫌だったんだよ」

ポツリと、そう呟いた。

あれーおかしいな。俺の微笑みが通用しないなんて。

あなたくらいですよ。

「…無理だと思ったら、そう言えよ。絶対助けるから」

「分かってますって」

「本当に分かってるか?」

念押しが激しい。

「分かってますって…。それより、今のところこっちは順調ですけど…」

「それよりって何だよ。今、お前以上に大事なことがあるのか?」

分かった分かった。

「ルーチェスとルリシヤの方は?向こうはどうなってるんですか」

「ルーチェスのところには行ってきたが、ルリシヤはまだだ。お前達の後に行く」

そうですか。

「じゃ、ルーチェスの方はどうなってます?」

ルーチェスが潜入しているのは、私立ローゼリア学園大学だったな。

彼はどうしているだろう。

そりゃあ気になるよ。俺の弟子だもん。

「確か、『赤き星』とかいうサークルに入ってるんですよね」

「…」

…え。ルルシー何その無言。

「…何かあったんです?」

「…ルレイア、お前…『ルティス帝国を考える会』に入会するには、苦労しなかったか?」
 
「は?」

苦労?

苦労って言われても…。

「たかだかサークルに入るのに、苦労も何もないですよ。ねぇ」

ルーシッドに向かって言うと。

「はい…。勧誘会をやっていたので、そこに参加したら入部届を渡されて、それに記名して提出しただけです」

別に、あの勧誘会に参加しなくても。

普通に飛び入りで「入会したいです」と言えば、喜んで迎え入れてくれるだろう。

実際、そういうサークルメンバーもいるし。

しかし。

「ルーチェスのところは違ったんですか?」

「あぁ。どうも『赤き星』は、『ルティス帝国を考える会』よりも、ずっと危険な組織かもしれない」

…ほう。

それはまた…興味深い話だね。