The previous night of the world revolution6~T.D.~

「帝国騎士団が国民を助けた?いつ?」

「いつって…。いつだって、そうじゃないですか。国内の治安を守り、国民の生活を守っています」

「何処が?」

『ルティス帝国を考える会』は、互いの意見を尊重するのがモットーのはずなのに。

会員の一人は、そのモットーさえ忘れ。

馬鹿にしたように、ルーシッドを鼻で笑っていた。

そして、誰もそれを止めない。

つまり、皆同感なのだ。

帝国騎士団を擁護しようとする、ルーシッドが間違っていると思っているのだ。

「帝国騎士団が国民の生活を守ってるなら、今頃貧民街で飢えに苦しんでいる人なんていないよ」

「自分達だけが豊かであれば、それで良いから」

「帝国騎士団が守っているのは、自分達の生活だけじゃないですか」

「それは…。…勿論、救えない人達もいるけれど、帝国騎士団は精一杯、政策を考えている…はずです。先に起きた不況だって…帝国騎士団の政策のお陰で、何とか回復したじゃありませんか」

確かに。

そこは評価しても良いと思うよ。

奴らは、やれるだけのことをやって、そしてそれが功を奏した。

それなのに。

「それは、帝国騎士団の政策のお陰じゃなくて、そもそも不況の原因になった、箱庭帝国の観光事業が、ある程度収まったからでは?」

またしても、ルアリスが聞いたら激怒しそうなことを。

「それに、アシスファルト帝国も景気回復していたから、そこに便乗しただけだろう」

「実際自分達は大したことしてないのに、『帝国騎士団がやりました』って大々的に報じて、国民を洗脳しようとしているように見えるわ」

皆さん。ここにアホの子達がいます。

アシスファルト帝国が景気回復したから、アシスファルト経済と親密に関わっているルティス帝国経済も、一緒に回復したと?

逆だよ、馬鹿。

ルティス帝国の景気が回復してきたから、それに伴ってアシスファルト帝国の懐も、段々豊かになっただけ。

そして、帝国騎士団がその「大したこと」をしていなかったら、今頃ルティス帝国は、未だに不況のどん底で溺れていたよ。

ついでに言うなら、俺のシェルドニア帝国との「コネ」がなければ、君達も今頃、呑気に紅茶なんて飲んでいられなかっただろう。

更についでに、ルアリスの名誉の為に言うなら、箱庭帝国の観光事業は、別に衰退してなんかいない。

今も、常に一定数の観光者を集めている。名実共に、世界の人気観光スポットとして名を馳せている。 

更に最近は、観光事業だけではなく、国内の教育機関を充実させる為に投資しているとか。

ルアリスから、直々に手紙が届いたよ。

あの閉鎖された小国が、よくもこれだけの経済力をつけたものだと、感心させられる。

あ、ちなみにそれ、俺のお陰な。

ルアリスは、俺が育てたと言っても過言じゃないから。