The previous night of the world revolution6~T.D.~

ちなみに、論文の方は、二日目の午後には既に完成して、添削も済ませておいたのだが。

こういうのは、早過ぎても不興を買うからな。

「本当に真剣に書いたの?適当に書いたんじゃない?」と思われかねない。

ここは、ちゃんときっかり三日後に持っていった方が良いだろう。

そう判断して、言われた通り三日後に持ってきた。

とはいえ、もしあの会長がせっかちさんだったら。

昨日の時点で持っていっていた方が、好印象であった可能性はある。

まぁ、そこは気にしないでおこう。

ちゃんと期限内に提出したんだから、文句を言われる筋合いはない。

さて。

『赤き星』の部室の前に辿り着き、僕は一つ深呼吸をした。

部室の扉をノックして、数秒待つ。

すると、扉が開いた。

三日前応対したのと、同じ女性党員だ。

今度は、僕が来ると分かっていたのか、怪訝な顔はしなかった。

「あぁお前か、本当に来たのか」みたいな顔。

来るよ。嘘だと思ってたのか。

「言われた通り、論文書いて持ってきましたけど」

「…」

「中には、入れてもらえるんですかね?」

「…どうぞ」

入れてもらえるらしい。

論文が立ち入り許可証みたいなものだ。嫌になる。

部屋の中には、三日前と同じメンバーが揃っていた。

当然、サナミア党首も。

ダンジョンのボスみたいだな。

だが、ここで臆したら負けだ。

そもそも、何度も言うが、単身マフィアに乗り込んだこの僕が。

今更、恐れるものなどそんなにない。

全くないとは言わないが。

少なくとも、学生サークルのダンジョンボス程度に、恐れはない。

「僕の決意は、三日前と変わっていません」

だから僕は、サナミア会長と真っ直ぐ向き合った。

「その決意を、ここにしたためて来ました。どうぞ、皆さんで読んでください」

僕は、自分から論文を差し出した。

ちゃんと手書きで書いてきた。

論文の内容も、この『赤き星』の方針に添うよう、「調整」したつもりだ。

彼らが、これを気に入ってくれると良いのだが。

『赤き星』の党首、サナミアさんは、真剣な目で論文を手にした。

まず最初に読むのは、やはり彼女らしい。

サナミア党首は、無言で論文を読んだ。

眉間に皺を寄せた険しい表情で、一体何を考えてるのか分かりづらいが。

仏頂面でも、一応最後までは読んでもらえた。

さて、僕の渾身の力作を一読した彼女が、何を言うのかと思ったら。

「…」

何も言わず、横に座っている別の党員に渡した。

…感想言えよ。

そして、受け取った別の党員も、また無言で読み始めた。

何か言えよ。

あぁ、今この瞬間だけで良いから、読心術でも使えたらなぁ。

来世なら出来そうな気がするんだが、今は無理だな。

とはいえ、推測することは出来る。

一応、サナミア党首にとってあの論文は、他の党員にも読ませる価値のある論文だったということだ。

そうでなければ、党首である彼女が一読して、その場で突き返すなり、破り捨てるなりするはずだ。

いや、さすがに破り捨てられたら、こっちも怒りますけどね。

別にそんな論文、大した手間はかかってないが。

それでも、放課後の貴重なセカイさんとのイチャイチャタイムを、少なからず犠牲にして書いたものなんだから。

それを破かれたら…。

…殴るとはいかなくても、ちゃぶ台ひっくり返すくらいはするかも。

ないけど。ちゃぶ台。

仕方ないから、そのときはそこのテーブルをひっくり返そう。