The previous night of the world revolution6~T.D.~

…大学から帰宅後。

「ただいま」

「おっ、ルーチェス君だ〜!お帰り〜!」

殺伐とした空気を味わってきた後だけに。

セカイさんの、この笑顔が大変眩しい。

ルレイア師匠がよく、「『不味い』モノばかり食べちゃ駄目ですよ。やはり男たる者、『美味しい』モノを食べなくては」と言っているが。

あれは真実だな。

さすが僕の師匠。

「どう?絵描いてきた?」

「…まだ健康診断とオリエンテーションですよ…」

そんな、早速美術の講義は始まらない。

まだ履修登録も済んでないよ。それは明日。

本格的に講義が始まるのは、明後日からだな。

で、その前に僕には、やらなければならない課題が出来た。

しかし、それはそれ。

論文に取り掛かる前に、まずは家のことをやらなくては。

既婚者だからな、僕は。

仕事は仕事。家庭は家庭。

この区別がしっかり出来てない夫婦は、いずれ破局の道を行く。

故に。

「よし、それじゃ早速夕飯作りますかね」

「え。もう作るの?」

帰宅後早々、夕食作りである。

「はい。実は早速論文課題が出されましてね。忙しくなるので」

「そうなんだ〜…。大変なんだね大学って。よし!じゃあここはセカイお姉ちゃんが、忙しい弟君の為に手料理を、」

「そんな訳なので、今日のメニューはレンジで作る、簡単時短リゾットにしようかなと」

「せめて最後まで聞いて!?」

いや、セカイさんの手料理とかいう、世にも恐ろしいパワーワードが聞こえた気がするので。

聞こえなかったことにしようかなと。

とにかく、今日から三日間の夕食は、ちょっと時短レシピで済ませようと思う。

僕は、本棚からその本を取り出した。

こんなときの為に、買ってて良かった。

『猿でも分かる!簡単時短レシピ』。

このシリーズがもっと世に広まれば、人間の可能性は飛躍的に向上するのではないか、と密かに思っている。
 
「そっか〜、ルーチェス君忙しいんだ〜…」

ちょっとしょんぼり気味なセカイお姉ちゃん。

「忙しいと言っても、三日だけですけどね」

「もしかして、私とイチャイチャする時間もない?」

「あ、それは大丈夫。その時間はちゃんと確保してるんで」

「やったー!」

当たり前だろう。

ルレイア師匠も常々言っているが、世の中には優先順位というものがある。

ちゃんとこう…翌日の為の英気を養わないとな?

論文の質も上がるというものだよ。