The previous night of the world revolution6~T.D.~

「?」

「僕が、遊び半分でここに来たと思ってるんですか?その『コミュニズム概論』の講義で何を学ぶのかは知りませんが…。その講義で学ぶ知識は、僕が既に持っている知識より豊富なものなんですか?」

「…」

真面目くさってそう言うと、彼女の顔色が変わった。

「僕は国家に身命を捧げる覚悟で、この学園を選んだんです。この学園には『赤き星』という、コミュニズムを研究する同好会があると聞いて。自分はここに入る為に、この学園を選んだんです。三年生になるまでなんて、待っていられません」

と、いう我ながら素晴らしい愛国心を披露していく。

そんな僕の正体は、実は国家に背を向けた元王子である。

どの口で言ってんだ、って言われそう。

「今すぐ、入党させてください。好奇心や興味本位で訪ねてきた学生と、一緒にしないでください。志を同じくする者なら、年齢なんて関係ないじゃありませんか。僕はあなた方と同じ、身も心も、正真正銘のコミュニストです」

「…」

…さて。

見せられる限りの誠意は、見せたつもりだが。

どういう反応をされるか。

当院の女性は、しばらく僕を見つめ。

「…少し、そこで待ってて」

そう言い残して、扉を閉めた。

…嘘だろ、おい。

僕の渾身の演技が、通じなかったと言うのか。

いや待て。

さっきまでは、交渉の余地もなく門前払いだったのに。

再考の余地を与えてくれたいうだけで、一応僕の演技も捨てたものではない。

多分、部屋の中にいる別の党員達と、話し合っているのだろう。

僕という、例外を認めるかについて。

これで待たされて、「やっぱり駄目だから。帰れ」と言われたら。

勿論その可能性は充分ある。

そのときは、どうしたものか。

まぁ、どうとでもすれば良いのだが。

狂信的共産主義の論文でも書いて、送りつけるのはどうだろう。

悪いが、そういう類の勉強なら、あの鬱屈とした宮殿で、散々させられたからな。

軽く10000字くらいの論文なら、一晩で仕上げてみせるぞ。

それでも駄目なら30000字だ。

彼らに断られたときの為に、頭の中で論文を組み立て。

とりあえず序論はこんな感じかな、と構想を練っていると。

再び、『赤き星』同好会の扉が開いた。

おっ。

「決まりましたか?」

「ひとまず、中に入って」

一次面接は、とりあえず突破。

次は二次面接、ってところか。