三匹は嬉しそうに笑いながらミハルのそばにやってきた。

「あめかみさまね??」

「いたねえ、あめかみさま!」

「わぁい!!」

ミハルは耳を疑った。

「え…アメカミサマ…??あたいが…??」

三匹はぴょこっとおじぎをして言った。

「来てくれたから雨ふったよ!」

「ぼくたちのとこも雨ふらせて?」

「いこう?来て!」

その時、外にいたミハルに叔父が気付き、急いでミハルに言った。

「ミハル…!外いちゃなんねぇ…!!誰かに見られたら……」

「おいちゃん…あたい……」

「…!!き、きつねにたぬきが、べべ着て…お前が言った通りだ…!」

驚く叔父のことも気にせず、三匹はミハルに言った。

「いっしょいこ?手伝って〜!」

「このおじちゃんもくる?」

「なかよくいこうね〜。」

「…あたい…行ったら嫌われない…?」

不安そうなミハルの問いに、三匹は笑って言った。

「なんで?なかよくしよ〜?」

ミハルはそれを聞いて、叔父にしっかりとした口調で言った。

「おいちゃん、あたい、この子達と行きたい!なんか役に立てるなら手伝いたい!」

「お前…。……んだな、ここいるより良いかもしんねぇ…行くべ!」

嬉しそうにしてミハルをどこかに連れて行こうとする三匹に、ミハルもなんだか嬉しくなった。その様子を見た叔父も、ずいぶん久しぶりに見たミハルの嬉しそうな笑顔に安心し、優しく笑った。

ミハルと三匹は手をつなぎ、ミハルの叔父も共に、そのまま姿を消した。
そして何年もたった。


村はほど良い天候が続いていたが、あるときから雨が降らなくなった。秋には作物も取れず、 毎日吹くカラカラに乾いた風に、村人たちはすっかり弱っていた。

ある日、広大な畑の上の空に、美しい身なりの少女が、何匹かの動物を引き連れていきなり現れた。

「なんだ!?妖怪か!?」

見つけて驚いた村人たちの前で、少女はスッと顔を上げた。

「…ミハル……!!」

少女は目を閉じてゆっくりと両手を掲げた。すると……

ザ〜〜ッ!!

いつの間にか厚い雲が広がり、雨が降り始めた。

「あぁ…雨だあ!!ミハル、来てけたのか!!」

少女は整った顔に笑みを浮かべて、人々を見た。

「私、前まで力が抑えられなかったから、皆に迷惑かけて…。本当にごめんなさい…。」

彼女が謝ると、連れていた動物たちが言った。

「美春様〜、行こ〜!」

「春の準備に行こ?雪のあとにキレイな春を呼べるように!」

「うん…!」

嬉しそうに返事をすると、少女はまた動物たちを引き連れて消えた。

「『美春』…そうだったのか……」


その村は次の春、雪解けのあとには水が綺麗に満ちて作物や草や花々が咲き誇り、その名の通り、美しい春を迎えた…