そしてしばらく歌踊りが続き、

「いないねえ?」

歌っていた、メスらしい子ぎつねが言った。

「うん、いないみたい。」

笛を吹いていたオスらしい子ぎつねが次に言った。

「今日は帰ろ?お腹が空いた。」

腹太鼓を叩いていたオスらしい子だぬきも言った。
三匹は仲良くうなづくと、その場からロウソクでも消すようにフッと消えた。

「え……化かされたか??」

その夜はもう三匹が出てくることはなかった。

「あたいも外に行けたら、あの三匹を探しに行けんのに……」


朝、ミハルは夜中に見たことを叔父に言った。

「そうだか?…まあ、夢でも見たんだべ…」

ミハルが外に出られないのを気づかってか、叔父はそう優しく笑って言った。

叔父が仕事に出てからミハルは、家の仕事をするにしろ遊ぶにしろ、ずっと耳をそばだてていた。
昨晩見た三匹が、また家のそばに来てもわかるよう、音を立ててする仕事は急いで終わらせ、遊ぶにしても歌う遊びはやめて、静かに待った。

「うちのそばはめったに人来ねから、来ても平気なのに…。」

結局三匹は、昼に現れることは無かった。


その日の夜、またあの三匹の来た音がした。

「あめかみさまよ〜…♪」

ミハルは待ってましたとばかりに戸をそっと開け、かじりついて様子を見た。

またと無い星空の下、仲良く楽しげに歌い踊る三匹を見て、ミハルはうらやましくなった。
ミハルには友達がいない。人間じゃなくたっていい、この三匹と仲良く話ができたらと思った。

「ちっとだけ、ちっとだけ…」

近くに寄りたい、話したい。ミハルはとうとう戸を開け、そっと外へ出た。と、次の瞬間、

ザ〜〜ッ

と、いきなり雨が。三匹と、家の外に出たばかりのミハルはそのまま立ち尽くした。

そして三匹とミハルの目が合う。

「あっ!」

「あ!」

「あれ??」

「…!!」

ミハルは急いで家に入ろうとした。三匹に対して気まずくなったし、それにもし村の誰かが、ミハルが家の外に出ているのに気づいたら……

「そうだねえ…!」

「そうだよ!」

「きっとそう〜!」

いきなり三匹がそれぞれ声を上げ、ミハルは驚いてまた立ち尽くした。