「しかも…卒業した後の就職先まで一緒とか…。
あの子ってばいっつも真凛の真似っこばかりで本当に目障り…」
「う~ん…就職先とかは偶然だと思うけどなあ。 それに真似っこって言うより」
「もぉ~~…真凛はお人好し過ぎるッ!
桃菜なんかと縁切っちゃいなよぉ~…。
てゆ~か和泉さんにはもっとショックだけどね…。誠実そうな人だと思ってたのにまさか桃菜の毒牙に引っかかるとはね。
そういう人だって今知って良かったとも思うけど。陰でこそこそ浮気なんかする男、真凛には似合わないし」
蒼汰の事は明海にも紹介した事があった。三つ年上の大手企業の営業職をしている蒼汰は、出会った時は少しちゃらそうだったけれど誠実な人だと思った。
強引に押されて付き合う形にはなってしまったが、話題が豊富で色々な所へ連れて行ってくれる彼と過ごす時間は楽しかった。
25歳。そろそろ付き合う人とは結婚を意識し始めていた。 きっと蒼汰と家庭を築けたら楽しいだろうと思った。
けれど桃菜と蒼汰がそういう関係になっていて、ショックはショックだったけれど涙の一つも零れなかった。



