「ええー、でも小早川さんから聞いてますよ。高校時代からの付き合いだったって。
大学には市ヶ谷のおじい様の好意で行かせて貰ったとか。 小早川さん家庭環境が複雑で大学に行く費用がなかったから、その時すごく助かったんだって言ってました」
「ふん、俺がした事じゃない。じーさんが碧人をお気に入りだったからだ。
それに碧人は高校に一般入試で入って来たんだ。俺の行っていた学校は幼稚園からのエスカレート式で、高校からの外部入学はよっぽど優秀な奴じゃないと取らない。
あいつは昔からすごく頭の良い奴だった。 まあ、大学卒業後もボヤージュに入って俺の秘書をやっている。腐れ縁って奴だな」
「小早川さんが優秀な方だっていうのは分かります。
気遣いもすごく出来て、いつも笑顔で素敵な人ですよね。市ヶ谷のおじい様がお気に入りなのも分かります。
顔もすごくかっこいいし、絶対にモテるんだろうなあーって思います」
和気あいあいと会話が進んでいるかと思えば、突然伊織さんがムッと眉をしかめ始めた。
せっかくいい感じで話が進んでいるかと思ったのに、何故か不機嫌そうになり貧乏ゆすりまで始める。
「そんなに碧人がいいか?」
「へ?」



