【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


「私は…昔から家族でご飯を食べる時はお喋りをしながら楽しく食べていたんです。
だからっ……
もしも伊織さんが嫌じゃなければ…食事中も色々な話をしたいと思っています…。
い、伊織さんが嫌じゃなければの話ですけど…」

ちらりと視線を上げると、彼はやっぱり不思議そうな顔をして、少し何か考えた後に「嫌じゃない」と頬を緩ませた。

何故かその顔にその言葉にすごく嬉しくなって、彼の顔を見る度に胸が高鳴って行く。

「伊織さんの好きな食べ物は何ですか?」

「だから元々食に興味がないって言っている。 …でも君の作ってくれる料理は全部美味しいな。味付けが薄くって、俺好みではある」

「味付けが薄いのはおじいちゃんとおばあちゃんと暮らしてきたからかも…!
二人とも素材の味を生かした料理を私に教えてくれたから」

「そうなのか。今日の煮物もすごく美味しい…。若いのに料理が上手だなっていつも感心していた」