【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


伊織さんの言葉を聞いて、私の方が真っ赤になってしまった。
まさか彼の口から、そんな言葉が飛び出すなんて思いもしなかったからだ。

「それに真凛は俺の妻だろう? 俺があげた物より碧人から貰った物の方を喜ぶのは、嫌だ……」

視線を逸らした伊織さんは唇を少しだけ尖らせて、拗ねた素振りを見せる。
その顔を見た時、心臓がドキドキと鼓動を刻む。
私はもしかしたらずっと伊織さんを誤解していたのかもしれない。

「私に喜んで貰うため…。伊織さん、ありがとうございます。 余りにも大量なので驚いてしまったのですが、全部食べますね!
本当にありがとう!」

あの量、絶対に太るよ~…。そう思いながらも、顔が思わず綻んでしまった。
だって私を喜ばせようとした、その気持ちが嬉しいから。 あの量はさすがに驚いたけれど。
お礼を言うと伊織さんは得意げに満面の笑みを浮かべた。