【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


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「…何よ、これ…」

翌日の午後、私宛の荷物が届いた。 一体誰から?と思い送り主を見ると’市ヶ谷 伊織’と書いてあった。

今朝も特にこれといった会話もなく彼は仕事に出かけて行った。 あれよこれよと運ばれる荷物。 大き目な段ボール二つ分。

中を開き、再び声を荒げる。

「ええー?!一体どういう事?!」

午後17時に伊織さんからメッセージが入った。 『今から帰る』といった淡泊なものだ。 いつもと何ら変わりはない。

帰宅する時連絡はくれるようになったが、毎日ほぼ同じメッセージである。 機械か…とたまにつっこみたくなる。

けれど一日一回ご飯を一緒に食べるのも、メッセージのやり取りをするようになったのも初めから見れば大きな進歩の一つである。

『私宛に荷物が送られてきたのですがどういう事ですか?』メッセージのやり取りが続くような文面を送っては見たものの既読スルーだった。

そして彼は18時過ぎに帰ってきた。

「ただいま~」

「あ、おかえりなさい。あ、熱ッ。あつつ…!」