その言葉に胸の奥がカッと熱くなる。
唇を尖らせて、小早川さんから目を逸らす。
「絶対嘘でしょう…あの人私には何も言ってくれないし、食事中は一切会話もないんですよ」
「くくッ。あいつらしー。 多分食事中に会話をしないのはそうやって躾られたせいだと思うよ?
だから真凛さんから話を掛ければ伊織も答えてくれると思うけど。」
「嘘……だって全然美味しそうじゃないし…」
「誤解されやすい奴なんだよ。 でも俺には真凛さんの話をしてくれるし」
そんなの絶対嘘だよ。 でもそれが本当だったら嬉しいかも。
顔を上げると小早川さんは微笑みながら私の頭をなでなでと撫でる。
「おい…!碧人!何してる!触るな!
おま…真凛も簡単に人に触らせるな!おま…真凛は俺の妻だろうが!
それに珈琲が遅い!」
だから音もなく近寄って来るのは止めて! それに今、何度も’お前’って言おうとしたわね?!
私の頭から手を離した小早川さんは腕で顔を覆いながらくすくすと笑い、伊織さんは顔をしかめたまま自室の扉を再び力強く閉めた。
もぉ~~ッ…。一体何だって言うのよ~?!
全然意味が分からないって!



