「マジウケる。」
「マジウケるってなんですかー?!
こっちは困ってるんですよ?あの人何を考えてるのかさっぱり分からないし、表情も全然変わらないし…
口数が多い方ってわけじゃないし、口を開けば嫌味ばかり!
好きな食べ物もよく分からないから、ご飯だって何を作っていいか分からなくって困ってるし…」
ついつい小早川さんに愚痴ってしまう。
…でも本当に困っているんだから。 一緒にご飯を食べたいって言ったのは…酔っぱらっていたとしても私だ。
その約束を伊織さんは律義にも守ってくれている。だから悪い人じゃないっていうのは分かる。 でももしも無理をしていたり、本当は嫌なら無理強いさせたくない…。
どうして私ってば自分の言いたい事もはっきりと言えないんだろう…。
俯いていると、頭の上に温かい物を感じた。
顔を上げると、小早川さんの優し気な笑みと彼が頭をゆっくりと撫でる。
「伊織は、俺にもそこまで自分の話をしない人だけど…
最近毎日のように同じ事を言うんだ。」
「同じ事?」
首を傾げると、小早川さんは目を線にして微笑む。
「真凛の作ってくれるご飯は美味しいって」



