「何がびっくりだ。 さっきからずっとお前らの話を聞いていたんだが?
何だよ碧人、俺はケーキなんか食わないぞ?何をボヤージュの商品なんか持ってきてやがる」
私の手の中にあった箱を見つめ、何故かますます不機嫌になってしまう。
「真凛さんは甘い物が好きなんだって、だからうちで出た新商品を持ってきた」
そぉーっと伊織さんの方を見上げると、彼は何かを考え込んだようにこちらを睨みつけた(ように私には見えた)
「おま…真凛、甘い物が好きなのか?」
今…!またお前って言いかけたわね?!
「はぁ…まあ…」
「ふぅん、あっそう。そういう事は言ってくれないと分からないじゃないか。
そーかそーか。あーそうですかー。
つーか碧人早く部屋に来い。 後、真凛珈琲を部屋に持ってこい。」
’持ってこい’ってどんな言い草よ。私はあんたの奴隷か!
言いたい事は沢山あったけれど、「はい」とだけ返事をすると彼は満足げに自室へ戻った。
一体何なのよ!ムカッとして思わず顔をしかめると、それを見た小早川さんがくすくすと笑う。



