「いや…でもさあ…桃菜が悪いわけじゃあないし…。
つーか蒼汰がそういう男だって見抜けなかった私にも問題があったわけだし」

「真凛甘すぎッ。 桃菜があんたの男取ったの何回目よ?!
大学時代のサークルの先輩と社会人になって付き合い始めた男もそうだったわよね?!
そのくせその男達とは直ぐに別れちゃって、絶対わざとやってるに違いないんだから!」

ガンッとジョッキをテーブルに置いた弾みで明海の茶色のウェーブがかった長い髪が揺れる。
毛先まで手入れが行き届いているそのふわふわの髪の毛に思わず魅入ってしまう。

明海は桃菜とはタイプが違うけれど童顔で可愛らしい顔をしている。流行りの物が大好きでメイクやファッションにも敏感だ。

けれど性格はサバサバしていて裏表がない。

「…明海。髪の毛がすっごく綺麗…」

「そうそう。先日表参道の美容室でトリートメントをしてきて
って!そうじゃない…!」

「私もそろそろ美容室に行かなくちゃ。てゆ~か髪切っちゃおうかなあ…邪魔だし。」

「だからッ!今は髪の話してるんじゃないのよ…」