桃菜は私以外の女の子と仲良くなりたがらなかった。
そして大学時代からこの生活は始まっていたのだ。

何故か桃菜は私の持っている物を何でも欲しがった。 ワンピースにバック。 ヘアアクセにメイク用品まで。 私の真似をしなければ気が済まないのだ。

そして悲しい事に女の子らしい桃菜は私よりそれが似合ってしまう。


大学一年生の冬に付き合ったサークルの先輩を取った時も、桃菜は大きな瞳に涙をいっぱい溜めて私に謝罪をした。

人の気持ちが変わる事は仕方がない事だとは理解していた。
しかし一度ならず二度同じ事があり、今回で桃菜が私の彼氏を奪い取ったのは三回目だ。
桃菜が悪い訳ではない。頭では分かっていた。 男達は口を揃え今日のような事を言うのだ。

「俺が勝手に桃菜ちゃんを好きになった」 そのたびに私は桃菜を許し、就職先まで一緒になり25歳になる今日まで友人関係を続けてきた。

「だから桃菜なんかとさっさと縁を切っちゃば良かったのに…。」

蒼汰のマンションから出て直ぐに友人の明海(アケミ)から連絡が入った。

いつもより重い口調だったか…そんな私を心配して、直ぐに駆けつけてくれた。 そして二人で居酒屋で合流する事になった。

先程あった出来事を吐き出すように明海に言うと、彼女は私の代わりに怒ってくれた。