【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


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「うー…うーん………」

頭が痛い。体が重たい。  うっすらと目を開くと、カーテンの隙間から僅かな光が見えた。
爽やかな朝だ。 とは言い難い気分の悪い朝だった。

「頭が痛いよぉ……」

昨日は伊織さんと朝方まで飲み明かして、散々愚痴を吐いて一体その後どうなったのだろう。
きちんとベッドに眠っていて、布団も掛けられている。  自分でベッドまで歩いた記憶はない。

重い体を無理やり起こし、腕を見ると驚いた。 

「ぎゃああ!!」

右腕に大きな青あざが出来ていた。  …まさか、私伊織さんにDVされちゃった?!
最低…。酔っぱらったとはいえ、女性に暴力を振るう男性だったなんて。

起き上がると体中が痛く、足にも所々に青あざが出来ていた。  何故か体中が筋肉痛になっており、両手で壁をつたいながらリビングへと続く扉を開く。

伊織既に起きており、リビングで珈琲を飲みながら新聞を優雅に見ていた。
私に気が付くと、眉を少しだけしかめ新聞を折りたたみテーブルの上に置く。