【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


「俺と結婚する前はINO家具に勤めていたんだろう? あそこの家具は安価で良い物を作っているから嫌いではない。
それに元彼氏は和泉 蒼汰。大手の食品メーカーに勤めているそうだが、女癖は余り良くないらしいな。
お前別れて大正解だな」

「な…何でそんな事まで知ってんのよ!
プライバシーの侵害だわ…!」

「妻になる女の身辺は一通り知っていなくちゃいけないだろう。
あんな男に振られるなんてご愁傷様としか言いようがないが…
まあ、そのお陰で俺のような男と結婚出来て良かったな」

一つも顔色を変えずに平然と言い退けるものだから、呆れて物が言えない。
黙っていればかっこいい方なのに、口を開くと残念でならない。