―――――
マンションから出ると、空に今にも雨が降り出しそうな分厚い雲が重なっていた。 今にも一雨降り出しそう。
着ているカットソーがぴたりとくっつくようなジメジメ陽気。 だから六月は嫌いだ。
先日天気予報で梅雨入りを知って、憂鬱な気分になったばかりだというのにまさかこんな事がまた起こるとは……。
バックの中に入れて置いた携帯がメッセージを受信したのに気が付き取り出すと、そこには桃菜からラインが届いていた。
「本当にごめんなさい。
でも真凛ちゃんとは変わらずに友達でいたいの。
だって桃菜には真凛ちゃんしか信頼できる友達がいないんだから」
ごめんなさいとうさぎが泣いているスタンプまで送ってきやがる…その桃菜にこうやって男が取られたのは初めての経験ではない。
大学時代、初めて友達になった時はなんて可愛らしい女の子だろうと思った。
男には好かれやすいけれど、同性には嫌われやすい典型的なタイプの頼りなげな女の子だった。
私、蓮見 真凛とは全く正反対な性格と容姿だったけれど、頼りなく甘えん坊な桃菜を可愛いと思い守ってあげたいと思ったあの日が憎たらしい。



