【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


「あのー…あなたって私の名前を知っています?」

そもそもの疑問を口にして見ると、彼は口を曲げて不機嫌そうに眉をしかめる。
目力のある人だから、睨まれるとぶるりと震えあがりそうになる。

「お前馬鹿にしてんのか?蓮見 真凛だろ。 今は入籍したから市ヶ谷 真凛か。旧姓よりずっと良い名前になって良かったな」

「一応私の名前は知ってたって訳ですね。」

「あぁ?俺を馬鹿にしてんのか?
お前の事ならば何でも知っている。 旧姓蓮見 真凛、現在は市ヶ谷 真凛。
年齢25歳。誕生日は10月4日のO型。
身長160センチの体重49キロ。」

「ちょっと!何でそこまで知ってんのよ?!」

「そりゃあお前と結婚する前に調査はしている。 それに俺は記憶力は良い方なんだ。馬鹿にするな」

そういう問題じゃない。 頭を抱え大きなため息を吐くと、彼は不服そうにこちらを見下ろした。