「うちに余計な部屋はない。
お前は真白と同じ部屋で寝ろ」
「はぁ?!ちょっと待ってよ。何で私の部屋なのよ?」
長女だと思われる女の子がえらく不服そうな声を出して、私の方を睨みつける。
「俺と一緒の部屋で寝るわけにはいかねぇだろ。
それに朱莉と藍は同じ部屋で、真白だけが一人部屋だろう。
少しの間我慢してくれ」
「だからって……どうして私がこのおばさんと同じ部屋なのよッ…」
お、おばさん?!
まだまだ25歳のうら若き乙女を捕まえておばさんですって?!
そりゃああんたらガキから見て見れば大人のお姉さんかもしれないけど…。
苛立つ気持ちを押さえつけて、取り合えず沈黙を貫いた。
取り合えず、実家には絶対に帰りたくないし、帰ったって歓迎されるわけがない。
かといって男の家を転々とするのにも疲れ切っていた。