【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


ケーキの横には、ボヤージュのクッキーが数枚添えられていた。
桃菜は口元に人差し指を持っていき、小さくウィンクをする。

「真凛ちゃん、このクッキー好きでしょう?桃菜からのサービスですッ」
「桃菜さん、何を仕事をさぼっているんですか?」

後ろからぬっと小早川さんが現れ、まるで子猫のように桃菜の首根っこを掴んだ。

「きゃん…!
くッ…また来たのね?!
何しに来たのよ?!」

彼からすり抜けるように警戒心をあらわにした桃菜を見て、またくすりと笑みがこみ上げる。
…中々いいコンビだとは思うけど、ね。

「新しい店舗の視察に来たんですけれど?
ほら、オーダーが入ってるから真面目に仕事して下さいよ?」

「分かってますよぉーだ!毎日毎日視察といいながら現れやがって」

「何か…言ったか?」

「何でもないですよぉーだ。
じゃあ、真凛ちゃんゆっくりね。また伊織んが来たら顔を出すから」