その時コツコツとマンションの奥から足音が聴こえ、桃菜の動きがぴたりと止まると彼女の顔がサーっと青ざめて行く。
何かと思い振り返ると、そこには仁王立ちをしてこちらを見下ろす小早川さんの姿があった。
そそくさとマンション内に逃げ込もうとした桃菜を、小早川さんは小さな子供でも持ち上げるように両手で抱え上げる。
「ちょ~~~~!!!離せッ!!何する!!」
「往生際が悪いですよ、桃菜さん。あんまり俺の仕事を増やさないように」
その姿はまるで囚われた子ウサギのようだ。
小早川さんに持ち上げられ、両手をバタバタと動かして騒いでいる。
それに動じることなく、小早川さんはひょいっと肩に桃菜を乗せた。
「あんまりジタバタすると本当に落としますよ」
「ひッ。巨人…!誘拐犯!拉致!」
それでも騒ぐ桃菜に呆れため息を吐き、小早川さんは私達の方へ向きなおった。
「桃菜さんは俺の実家に連れて行くので、ご心配なく。
少しの間うちで預かり、腐った性根を叩き直したいと思います。」



