伊織さんの呆れ返った声に、顔を上げて彼を睨みつける。
彼の手を離し、桃菜の背中をさするとびくりと小さく震えあがる。
「桃菜は私の事嫌いかもしれない。 それに私だってあんたにムカついてた。」
「ムカつくなら、放っておいてよ…。 真凛ちゃんには伊織んがいるでしょう…」
「いくらムカついたからって、あんたの事嫌いになれなかった。
桃菜がどれだけ私にムカついていても、ウザいって思われたって
どうしたって放っておけないし、心配なの…!」
「うるさいなッ!もう放っておいてよッ」
「無理!とにかく行くよ!ほら立って!」
「嫌だ!!触らないでよッ」
意地でもその場から動こうとはしない桃菜の腕を引っ張る。 てこでも動かないつもりなのか、この小さな体のどこからそんな力がわいてくるのか。ちっとも動かせやしない。
それでも桃菜の腕を引っ張った。
私達の押し問答を見て、伊織さんは困り果てたようにその場でオロオロとしている。



