【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


私はちっとも桃菜の気持ちを分かろうとしていなかったのかもしれない。
本当の意味で友達なんかじゃなかったかもしれない。

本音も言わずに、彼氏を取られたって何も言わずに桃菜を許し続けていた。

本気でぶつかり合った事は一度もなかった。 そういうのが言葉にしなくとも態度に滲み出ていたのかもしれない。

「桃菜…取り合えずここは出て行こう。蒼汰と一緒に居たって何もいいことないよ。
それに蒼汰今彼女居るんでしょう? それなのに桃菜を家に上げるような男と一緒にいても、絶対いいことない」

嗚咽を上げたまま、ぷるぷると首を横に振る。
振り払われた手を再び差し伸べようとすると、伊織さんにぐいっと腕を引っ張られる。

「おい…もう放って置けよ…」

「放っておけない…!」

「だからどこまでお人好しなんだ…。 こいつお前の事が大嫌いだって言ってるじゃねぇか。
嫌いな奴の施しを受ける事程惨めな事もねぇだろ…。
いいから放っておけよ…」