【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


「桃菜…どうして。 だって今まで仕方がないって思ってた。
私が付き合ってた人でも桃菜を好きになったらそれはそれで仕方がない事だからって
それに桃菜だって本気で蒼汰達の事好きだって思っていたから」

「だから譲ったっての? ばっかみたい…! 今までの彼氏たちの事なんかちっとも好きじゃなかった!」

「じゃあ何で付き合ったのよ?!」

桃菜の考えている事がちっとも分からない。
今までだって全部たまたまだと思っていた。

話がぴたりと止まり、辺りが静寂に包まれる。

桃菜がゆっくりと玄関のチェーンを外す、と同時に伊織さんの右手が私の左手をぎゅっと握りしめた。

下を向いていた桃菜がゆっくりとこちらを見上げる。 その表情には一切色がない。
無表情のまま、私と伊織さんを一瞥していた。

「何でですって?
面白くなかっただけ。 別に真凛ちゃんの彼氏が誰であろうと関係なかった。
あんたの男を取って、あんたが悲しい顔をするのを見て楽しんでいただけ」