【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


威勢は良く見えるが、やっぱり覇気がない。

弱々しいのは元々だが、今にも消えてしまいそうだ。  もぉ…!だから放って置けないんだってば…!

「何だよせっかく来てやったのにその態度」

「伊織んにはもっと関係ないし
大体今日平日ですよ? 奧さんに尻に敷かれてわざわざ仕事をさぼってまで桃菜の所に来ちゃったんですかあ?」

「なっ…」

私が知る限りでは桃菜は伊織さんの前ではぶりっこしていた。
しかし今は敵でも見るように彼を睨みつける。
あんなに’伊織ん’’伊織ん’と懐いていたのに、女心と秋の空は分からない。

ツーンと顔を背けた桃菜に対し、伊織さんの両腕はぷるぷると震えだして今にも怒り出しそうだ。

「ちょっと、桃菜!何で蒼汰のマンションになんかいるのよッ…。
小早川さんが調べた限り、蒼汰今の彼女と別れていないみたいよ?!
そんな男の家に居てどうなるってのよ?!大体あんた浮気されて蒼汰と別れたんでしょう?」