「俺のベッドの上で俺以外の名前を出すな。
自分でも知らなかったんだけど、意外に嫉妬深いらしい…」

らしいって…。 未だに自分の事なのに半信半疑らしい。
けれどそういう子供っぽい所さえ愛しく感じるのだから、愛とは不思議なものだ。

「…伊織…って何か恥ずかしい…」

「可愛い反応ばかりするな」

深く深い口づけをして、伊織さんの背中に両腕を回す。
舞い落ちた幸せを前にして、胸のときめきが止まらない。

もう素直になっていい。
この人の前では自分を隠さなくても、笑えるし泣ける。

それはずっと探していた様な場所で、どこか懐かしい。
あなたといるのならば、幸せになれる。


でも私はまだ、この芽生え始めたばかりの愛を、こうなる運命だったとはまだ甘えたくない。
何故なら私達の物語は始まったばかりだからだ。