「何故床に…」
「だって座れって言うから。 椅子もソファーもないじゃないですか」
「はぁー……そんな所に座ったら足が痛いだろうが」
そう言ってぐいっと彼は私の体を抱き寄せ、ベッドに座らせた。
その行動一つ一つに胸がドキドキして、心臓が破裂しそうだ。
すぐに離してくれるのかなと思いきや、彼は私を自分の方へ強く抱き寄せる。
「いお、伊織さんっ……」
「こうしていないと、また君が離れて行きそうで怖い…」
消え入りそうな程小さな声で彼が言う。 彼の胸にそっと耳を寄せると、心臓の音がドキドキと響いていた。
その音を聴いて、ドキドキしているのは彼も一緒なんだと安心する。
「大丈夫。もう離れませんから」
「…別に一生一人でもいいって思っていたんだ。
会社も兄貴が継ぐし、俺は家族にも必要とされていない。
今までは自分の為に、自分のしたい事を好きなようにしてきた。
けれどもう、今は一人は嫌だ……」



