【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


「あのぉー…私伊織さんにお話が…」

「丁度いい。俺も君には改めて話さないといけない事があるんだ」

ぐいっと腕を掴まれて強引に連れて行かれた場所は、伊織さんの部屋だった。

仕事場と寝室が一緒になっているその部屋には、お茶を運ぶ時くらいしか足を踏み入れない最もプライベートな場所。

あんまりじろじろ見るのも失礼にあたるかと思い、出来るだけ見ないようにしてきた。


伊織さんの部屋は彼の拘りがぎゅっと詰め込まれたような、シンプルな部屋。 インテリアが好きな人だから、シンプルな中にも気品が感じられる。


仕事用のディスクがあって、本棚には仕事に使われる資料がぎゅっと詰められていた。
その他の家具といえばベッドと間接照明と空気清浄機位だったが、一つ一つに拘りが感じられる。

改めてこうやって見るの初めてだ…。 私今まで伊織さんの事ちゃんと見ようとしてきたのだろうか。

「まあ、座りなよ」

黒いシーツが掛けれているダブルベッドに彼が腰をおろすと、慌てて私はフローリングの床に正座をした。

その行動に彼が怪訝そうな表情を見せる。