【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


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ご飯を食べ終わり、伊織さんもお風呂に入ってまったりとした時間を過ごしていた。

来たばかりの頃はこの結婚がどうなるものかと何度も思った。 互いに向き合おうとしていなかったから、いつ離婚するのかとびくびくしていたものだ。

けれど少しずつ伊織さんを知って行く過程の中で、彼の不器用な優しさを知った。
私の強がりを見抜いてくれて、全てを受け入れてくれると言ってくれた。


伊織さんに伝えたい事があった。
あなたと私は、市ヶ谷さんと祖母がいなかったら出会ってさえいなかったかもしれない。

二人のラブストーリーの上でのみ成り立っていた関係。
それでも私、伊織さんと結婚して良かったと今は言える。

始まりは誰かのラブストーリーから、けれど私は伊織さんと二人でこの先の人生のラブストーリーを描いていきたい。


この気持ちをまだ、愛という言葉には甘えたくない。

甘え下手で強がりばかりの私が出した答えは、私達の出会いを一生という長い時間をかけて、いつか本物の運命に変えていく事だ。