【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


「センスなんて。
切って焼くだけの簡単料理だ。
真凛とは違って料理は初心者だから、君みたいに上手には出来ていないと思うが…」

「人の手料理なんて…何年ぶりだろう。
あ、うちは母が料理をサッパリしない人なんで、小さな頃からおばあちゃんがご飯を作ってくれていたんです。
だから嬉しい。感激…。伊織さんありがとう」

「別にこんな物、大した問題ではない。 とりあえず、食おう。 三日もろくに食ってないんじゃあ、倒れてしまうかもしれない。
味の保証は出来ないが、ご飯と味噌汁はインスタントだから問題ないと思う…」

伊織さんが作ってくれた初めての料理は驚く程美味しかった。

優しい味がして、ジーンと心に染みる。 インスタントの味噌汁がこんなに美味しいと思うのも初めてだ。

嬉しくって思わず涙ぐむと、伊織さんはぎょっとした顔をして焦りだした。

「ど、どうした?!また悲しくなったのか?
それとも俺の料理は…涙が出るほど不味いか…?」