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「ひッ…目がパンパンになっている~…」
マンションに帰って来てから、伊織さんがお風呂を沸かしてくれた。
丁寧に新品のバスタオルやパジャマも用意されており、広い湯舟には花の香りがする入浴剤が入っていてまさに至れり尽くせりだ。
マンションに到着してからも、ひとしきり泣いた。 全てをぶちまけるように今までの自分の人生を彼に話すと、彼は文句の一つも言わずに私の話を聞いてくれた。
湯船につかり、浴室の鏡で自分の顔を見ると、目がパンパンに腫れあがっていた。
…多分こんなに人目をはばからず泣いたのは人生で初めてだろう。
そんな私を伊織さんは笑いはしなかった。 でも改めて泣き顔を直視すると、顔から火が出るほど恥ずかしい。
でもなぜだろう。恥ずかしい気持ちと同時に心が随分軽くなった気がする。
お風呂から上がると、何故かキッチンで伊織さんが一人格闘をしていた。
リビングにふんわりといい香りが漂う。 それと同時にぐぅっと大きなお腹の音が鳴る。
ハッと目が合うと、伊織さんはくすりと笑った。



