【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


母と父が離婚したあの日も
母が家を出て行った日も
誰かに裏切られた時も

私は強いから大丈夫。誰にでもない、自分自身に言い聞かせて、本当の気持ちに蓋をした。
本当はそんなに強くない。泣きたい時だって沢山あった。

だから伊織さんが優しい言葉を掛けてくれて、いつまでだって抱きしめてくれるから
この日、私は生まれて初めて素直な気持ちになれたのだ。

本当はその日一日母についていてあげようと思っていた。けれど気持ちはとっくに限界を迎えていたのだ。

こんなに弱くて情けない。祖母の死を受け入れているつもりで受け入れていない。誰かに子供のように甘えたい。

そんな私の気持ちを汲んでくれたのか、伊織さんは母を説得して、私は伊織さんに連れられて彼のマンションに帰る事になった。