何もそこまで言わなくても…。そう思った甘い考えが俺の中にあったから、付け込まれてしまったのかもしれない。
…悔しいが碧人は一枚上手だ。 それは認めざるえない。
俺に無い物を碧人は持っている。
「伊織と真凛さんが結婚する時、周りの身辺は調べさせてもらっているんです。
勿論真凛さんの事を調べれば自ずと君の事が出てくるわけだけど」
「なッ。それってプライバシーの侵害ですよね?そういうお金に物を言わせたやり方ってどうかと思いますけど?!」
「はぁー…本当に話にならないな…。
別に君がどういう生き方をして自ら破滅の道に向かおうが、俺には全く関係ないっちゃ関係ないんだけど。
大学時代に知り合ってから、何回も真凛さんの彼氏を奪っているそうだね。
一つ疑問なのは、どうして真凛さんの物をそこまで欲しがるのか。 人の物を欲しがったって何もいいことがないのに
君がたとえ真凛さんの物を奪い真凛さんの真似をしたって、真凛さんになれるわけじゃないのに…」
碧人の言葉に一瞬桃菜が怯んだ気がした。 碧人は元々穏やかで優しい奴だが、怒らせるとどこまでも非常に人を追い込む癖がある。
碧人の抜け目のない厳しさが、じーさんいわくお気に入りの部分の一つではあるらしい。



