【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


どうしてそこまで強く出られるのか。 そして数日一緒に暮らしたのに、俺は何故この女の本性を見抜く事が出来なかったのか。

可愛い…?のか?
ころころとよく表情が変わる小動物のような女だとは思っていた。

清々しい程自分の意見をはっきりと言う所は全然嫌いではないが、そういう目で見た事は一度だってなかった。

ただただ妻の親友の人懐っこい女性としか思っていなかった。 しかし俺の何も考えていないそういう所が真凛を不快にさせていたのかもしれない。


真凛が嫌な事を嫌だとははっきり言えない性格だというのには何となく気が付いていた。
人一倍強がりで、我慢しいな所も分かっていた。

あの夜、酔った時にしか自分を解放できない姿を見て。
だからお酒に酔っていなくても俺にはっきりと何でも言ってくれる日を待っていたが、それこそ俺の言葉が足りなかったかもしれない。

もっと彼女の本音を訊き出しやすい環境を作ってあげられたのならば… いや、今更それを悔やんでも仕方がない。