【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


…真凛がその碧人をかっこいいと言った事には苛立ったりもしたものだが
そもそも家を出て行ったかと思えば、碧人にだけ連絡をしたのも気に食わない。

今は真凛の行方を知っているのは伊織だけなので、煩くは言わないつもりだが…余り人の妻に馴れ馴れしくしないで欲しい。

そうずっと思っていた。

「あ、碧人さんに何が分かるのよッ……」

「何も分かりませんが、伊織が不貞を働くタイプの人間ではない事と
人を見る目だけあるのは知っています。
もしもあなたが真凛さんの立場だったとしても、伊織は桃菜さんの事は好きにならないでしょう」

碧人の言葉に桃菜は顔を真っ赤にして、更に怒りを露わにした。

「そんなの絶対おかしいもん。
だって真凛ちゃんのより桃菜の方が顔も可愛いし、スタイルだって良い。
それに女として桃菜の方が魅力的だもんッ。
だから桃菜より真凛ちゃんの方がいいっていう男の方が頭も目もおかしい…」